『勝敗論』、そのリアルさとナンセンスさ。

午後。


最近結婚願望が中毒症となって脳髄を犯し始めてるカリスマギャングスタ
キャメランマン・カワさんから、無価値なオイラにお食事のお誘い。



アキファヴァロンへ。
オタクの魂が行き着く場所はここの他に無し。



特にあても無くぶらぶら。
相変わらずカワさんは道すがらのメイドさんやらを見掛けては視線をロックさせてしまう癖が抜けていない。
着てるモノに異常に気を使う割にはこういった見苦しい行為に一切配慮はなさらない。
些細な所作だけど、これからお見合いしようかって人間ならば矯正しておきたい一癖には違いあるめえ。




そんなカワさんが『メイドにはもう興味ありません』とでかい声で宣言した道中に『メイドの眼鏡屋さん』なる珍商売の店。
宣言から35秒後。『ちょっと覗いて行きませんか』と言い出すカワさん。


この人ほど自らの発言に対して不誠実な人間をオイラは見た事がない。
理屈っぽい事をだらだら言う割に、なぜ行動はその理屈を伴わないのか。行動は常に正直な人で解り易いくらいだが
ナンセンスな理屈を捏ね繰りまわすので、いたる場面で空中分解事故を目撃されてしまうという損な性分の人だ。
店外にて待機。好きなだけメイド眼鏡屋を堪能して頂く。



そんないつもの感じの珍道中。
カワさんと交わされる不思議なダイアログは、その実カワさんの特殊なイデオロギーで粉飾されたモノローグ
への弾劾であるだけで、これは会話ではない。
会話では無いのでとりとめの無い雑談以下の意味も持たず、あまり有意義なモノでもない。
さらにいえば無自覚な欺瞞で語られる無意味な言葉を向けられるのは、不誠実そのもので最も嫌悪したるモノであり、
これが友好的な会話として成立するとはオイラは思っていない。
そしてカワさんにとって、その欺瞞への報復として浴びせられる一方的なオイラの罵詈雑言はやはり罵詈雑言でしかなく、
まったくのナンセンスである。




そんな状況しか産まれない事を承知で、カワさんは飽きもせずオイラを誘い出す。変わった人だ。





夜。
アキファヴァロンの楼閣・ヨドゥオヴァスィデパルトメントにて食事。
『オタクのお見合いパーティー』なるものに飛び付いたるカワさんの話をぼんやり聞く。
『結婚する』事が『勝利』であると自ら規定しているカワさんの、実に正直な結婚願望。
カワさんが何を勝敗のポイントにしようが、それはカワさんの自由だが、オイラには
まったく興味の無い話。こればっかりは好きにしたら良いとしか言いようがない。
とにかくなにがしかの焦燥に駆られておられるのは見てとれた。
落ち着きの無いのはいつもの事だけど、それに輪をかけて焦っている。
ネガティブさに迫真が加わっている。
真顔で語るカワさんの姿はリアルだった。



リアルではあったが、その現実に欺瞞と粉飾で対処しようとするカワさんはやはり
カワさんだった。真剣ではあるものの、その真剣さに翻弄されている。
それもまたリアルなのかもしれないが、オイラにはこのリアルは理解できないし、しようとも思わない。



願うはカワさんが、カワさんの望む『勝利』を掴み取る事。それだけよ。
なにかと余所見の多い人故、なんとか真っ直ぐ歩いてもらいたいものよ。




店内から客の姿が消え始めた頃合に解散。



本日のお買い上げ品。
伊藤明弘先生の『ジオブリーダーズ』12巻:いよいよ混迷を深めるストーリー。
竜は田波の前任者か?そしてあの女、神楽か?表紙はまったくもって意味深。闇の奥。
既刊中に読み落している情報があるような気がしてきた。復習しよう。




レーザースマートガンを振り回す主任は男前。
『「猫は!猫はー〜!!」「猫はもう居らん!」』というくだりで、なんかの台詞を思い出しかけたが、
思い出せん。漫画だったような気もするが。