『トーキングヘッド』

16:00
放送大学は映画史講義に。
まずはリュミエール兄弟の話から。


『工場の出口』。
紹介映像は犬がいるバージョン。
押井守監督が言うには犬がいないバージョンと
いるバージョンの2種あるそうな。
押井監督の映画『トーキングヘッド』の
ラスト、試写会場から制作関係者が
ぞろぞろ出てくるシーンはまさに
このリュミエールの『工場の出口』であり、
音響監督役の田中真弓さん(だったと思う)が
犬の看板を持って出てくる。





『シオタ駅・列車の到着』。
プロダクションIGの黄瀬氏が『トーキングヘッド』にて
鉛筆作画によるこのシーンの動画制作を
依頼され、腱鞘炎を発症したのは有名。


記録映画であるリュミエール映画にも
すでに演出がなされていたという講師の指摘は
『トーキングヘッド』のコメンタリーに
おいても語られている。
押井監督の実写映画『トーキングヘッド』は
アニメ制作現場の混乱を描いた演劇演出
的映画であったが、その実は映画史を
表裏から考察するものでもあった。



映像が脚本、演出を獲得し、ソ連においては
映画の持つ力の中からプロパガンダという装置が見いだされた。
グリフィスの『戦艦ポチョムキン』における
オデッサの階段』は有名なカット。
デ・パルマはこの階段を駆け下る乳母車のシーンを
アンタッチャブル』にて再現していたりする。




そして『戦艦ポチョムキン』の再現を
目指し、プロパガンダとして映画を
徹底的に利用したナチス宣伝相ゲッペルス
リーフェンシュタール


スタジオシステムが崩壊したネオリアリスムで撮られた『無防備都市』、
ヌーベルバーグの台頭。
ゴダールの『勝手にしやがれ』でそれまでの映画の文法が覆された。


ヌーベルバーグから話は香港ノワールへ。
これは講師の趣味か?
『インファナルアフェア』を紹介。
屋上でのパノラマショットで拳銃を
突きつけるシーンを見せて
空間の濃密な演出を解説。
植民地時代、リュミエールにより先んじて撮影された
ビクトリアピークの眺望を、この
映画によって自らの手に獲得した香港市民の
アイデンティティーにまで推察はおよぶ。
考え過ぎじゃなかろか。



ちなみにオイラ、ゴダールトリュフォーの映画は
一本も観たことない。