『密着!気特対24時』

『MM9』中。
國村隼の『晩春』、女人禁制の霊山でのS事案、防衛省から来た男、
怪獣シッポン出現、密着!気特対24時、お祭り居酒屋酩酊録、
1999年阪神・淡路スカイウォーカー事案、
そしてモンスターマグニチュード9事案。
まとめて視聴。


小津安二郎テイスト漏洩の『晩春』話。國村隼さんがゲストの白黒劇は
樋口真嗣監督が小津演出に迫る。
『晩春』の核心に触れる、父と娘が織り成す男と女のさがの交錯。



防衛省から来た男。軍隊はその存在のために仮想敵を必要とするという、
軍隊の抱えた戦争と平和のジレンマを秘めた、意外に重い話。
軽薄に見えた防衛省から来た男も、その内実は実直な軍人である。



怪獣シッポンへの攻撃でみせる田口清隆監督の自衛隊装備の特技描写は
相変わらず目を見張る。
『ゲハラ』で見せた怪獣頭頂部への戦車火砲の火力集中も息を呑んだけど、
今回のシッポンへの特科火砲のTOT実施も見事なものだった。
怪獣特撮番組でTOT射撃なんて初めて観た。
田口監督の自衛隊の戦闘演出にはかなり興味深いものがある。


 
総火演での実際のTOT射撃。


密着気特対のフェイクドキュメント『密着!気特対24時』はまさにお遊びの労作。
この手のお遊びは完成度が命。
日本のテレビ局が創るワイドショウ的ドキュメント番組を緻密に再現。
『警視庁24時』『UMA特番』『心霊オカルト特集』を一本に完全濃縮。
ナレーションの山寺宏一が見事な七色の声を発揮し、それに挿入されるBGMがこれまた良い。
とにかく隅々までよく創り込まれている。



お祭り居酒屋、単純に好きなお話。
伊藤和典脚本の本領発揮か。押井守的でもあり鈴木清順的でもある。
伊藤さんの書く、現場の緊張感あふれる状況アクションも大変素晴らしくて
大好きだけど、こういう妙な味わいの密室泥酔劇も好き。
部長と課長が実に良い。



最終話MM9事案。
防衛省から来た男が良い味をいよいよ発揮。なにかしら陰険な命令を受けて気特対と
繋がっているのかもしれないけど、彼自身はうまくパイプ役となっている。
制服姿で実直な彼の態度は非常に好感が持てる。何故か登場毎にテーマ曲が流れる。


気特対を侮辱し、班員を拘束しようとした警察と窮地の班員の前に、
ジョン・バダム的登場を果たす防衛省の男。
男前度がさらに急上昇。


ラストシーン。
おそらくこうなるとは思った。怪獣には怪獣の世界がある。