メイド・イン・LA:「コラテラル」

だらだらとレイトショウで「コラテラル」鑑賞。
LAを舞台に、男・マイケル・マン監督が描くハードボイルドサスペンス。
都会的にドライでスタイリッシュ。余計なものを全て削ぎ落としたようなシャープな演出。
静かに展開するアダルトなピカレスクドラマ。
緊張感走る男たちの、粋で刹那的な駆け引き。
銃撃戦を最小限に抑えた、「アクション映画」では無いこれぞまさに「ハードボイルド映画」。



「MI2」で大いに期待を裏切ってくれたトム・クルーズだったが、本作では
まんまとマイケル・マンカラーに染め上げられ、実に良い雰囲気のアーバンアサシンを
演じていた。
車道を犬が横切る一連のシーンで見せた、一夜の気だるさと覚醒を感じさせる表情。
大都会の夜の魔性をじんわり静かに、味わい深く描くマイケル・マンの素晴らしい演出に、
トム・クルーズは良く応えている。
夜の雲の底面を街明かりが照らし、独特の空の色を醸した背景。その背景を窓に映した
タクシーの中のトム・クルーズ。なんとはないシーンだが良かった。
あとジャズクラブのシーンも好き。


銃撃シーンでも、トム・クルーズは見事に銃をリアルなアイテムとして使いこなしていた。
アジアンクラブ襲撃シーンでは、マグチェンジの速さに目をみはった。


無駄に派手な演出もなく、スマートに淡々と見せる映画だが、決して退屈な作品ではない。
素晴らしい上質のハードボイルド、それが「コラテラル」。