「狙われない街」

ZEKEから、「24」ファーストシーズンのバーター取引として実相寺監督の
「狙われない街」を見せてもらう。


痛烈な現代批判に満ちた社会派寓話。
世知辛いのは40年前も今も同じの世の常。しかして人間のザマだけは確実に変質した。
正論すらもデタラメなエゴに感じられる自己主張と利己主義が氾濫する21世紀。
閉塞しないでよく機能しているもんだと正直のところ思う。


無様な醜態を晒す事を恥とも思わなくなった人間たちが蔓延する現代。
メトロン星人はそんな日本に辟易し見限った。
40年の歳月をかけて、我々日本人は自らを腐らせ、侵略する価値のない街を創り出してしまったようだ。


「かつて21世紀はあんなに輝いていたのに、いまこの国にあるのは汚い金と燃えないゴミだけだ。」
とは、秘密結社「イエスタデイワンスモア」の首領・ケンの台詞であったりする。


未来を失った喪失感と、40年前の夕焼けに観る郷愁に満ちた切なさ。
ウルトラマンと戦う事すらない静かなクライマックスに、正直涙が止まらなかった。
とにかく非常に良質で完成度の高い、警鐘と教訓に満ちた素晴らしい児童SF番組。
この話を見た子供たちは40年後、いったいどんな日本に暮らしているのだろう。
悪意に満ちたこの国を、無様な大人を見習う事なく謙虚かつ用心深く生き抜いて欲しいもの。



実相寺監督のケレン味溢れる映像演出もとても素晴らしかった。
欲を言えばフィルム撮りで観たかった。



ちなみにオイラ、携帯電話を持っていない。