神殺し   異能者キリコ・キュービー

コンビニで息抜き。
廉価コミック版のなかみのる先生の「装甲騎兵ボトムズ」購入。
年末にウド・クメン編が発行されていて、今回購入はサンサ・クエント編。
元々はコミックボンボン掲載の作品だが、とてもお子さん方がお菓子食べながら
愉しく読める代物ではない。
「アニメ=子供向け」というセオリーが徹底的に破壊された本作。


「クエント」編は作品クライマックス。神:ワイズマンとキリコの対峙である。
壮大な陰謀劇の果て、キリコに神:ワイズマンは語りかける。
「わたしのあとをついで戦争をつかさどれ。罪を超越できるのは完全なる支配者だ」
「たとえ殺したとしても神は罪をおかしたことにはならない  神だけは!」

そしてキリコは「神殺し」を選択し、実行する。


これ、本当に「ボンボン」で連載していたのだろうか??
小学生の眼に、果たしてこの壮絶な高橋良輔イズムはどう映ったのであろう?


第三巻サンサ編「不可侵宙域」の冒頭は、名画「ドラゴン殺し」が飾る。
竜を射殺するスコープドッグ:レッドショルダーカスタム。見事な戦争絵画である。


「惑星サンサ」では、復讐に狂う女、ゾフィによってキリコ・キュービーが
かつて所属した「吸血部隊」のダークサイドが暴かれる。
伝説のAT特殊部隊「メルキア戦略機甲兵団特殊任務班X−1」。それは
大量殺戮者への怨嗟の念とともに「吸血部隊レッドショルダー」とも呼ばれた。
サンサ攻略戦。レッドショルダーはサンサを衛星軌道上からの熱核攻撃に晒した
挙げ句降下し、その惑星の歴史を僅かな作戦時間で終結させた。


大量虐殺者、キリコ・キュービー。
この主人公を、子供たちはいったいどう見ていたのだろうか?


僕はボトムズ放送当時小学生だったが、リアルタイムに観ていたという
記憶がいまいち無い。きちんと観ていたとしても、おそらく作品を理解することは
出来なかっただろう。


ラストのキリコの台詞。
「神が死んでも戦争はおきた。戦争は永遠に続くだろうが俺たちの命には限りが
ある。」
戦争の無い世界を求め、キリコはフィアナとともに旅立った。







しかし、彼らは戦争の無い世界に辿り着く事は出来なかった。